700 中国珊瑚密漁事件 罰金が未だに低いのは,刑法の労役場留置の規定不備が原因?

いい記事です。

法は国民のために~FLORALAW

例の中国戦による珊瑚密漁(法改正後)の初判決があったようです。

ちょっとこの記事で気になったのが,実刑とはいえ,
板金も併科されているところ,その罰金がもし払えないとき,1日2万円と換算する労役場留置の処分を言い渡したこと。
私達の経験では,普通罰金が科された事案では,1日5000円換算が多かったから,ちょっとびっくりしたのです。
中国人珊瑚密漁の罰金刑が未だに低いのは,労役場留置

こんな悪質な経済犯罪で,1日2万円に換算して差し上げる必要はないでしょうにと思いました。
むしろ逆,本来経済的に割が合わないようにしなければならないはずです。

ただ,裁判例によれば,3500万円の罰金の場合に,1日10万円の換算による労役場留置を言い渡した例もあるようです。

    どうして,こんな「配慮」をしてやらないといけないのか

    それは刑法18条で,労役場留置は原則2年までとなっているためだと思います。
    2年間というと730日だから,普通の罰金事件のように1日5000円換算の労役場留置の処分とすると,最大365万円を限度とする罰金刑にしか対応出来ない。

    それで罰金1000万円の本件事件では1日2万円の換算とし
    (この場合は1460万円の罰金まで対応可能),
    3500万円の罰金事件では,1日10万円換算
    (理論上罰金7300万円まで対応可能)
    の労役場留置の処分としたというわけ。

・・・・なんか本末転倒のような。。。

確かに,罰金は,中国密漁だけでなく,刑事法一般の問題だし,
重要犯罪の場合は,実刑選択もできるから,法体系としては,格別不当ではないとの趣旨か?

でも,罰金刑併科というのは,刑務所に入れるだけでは事足りず,
経済的に割りがあわなくする趣旨があるとしたら,
高額罰金の場合に労役場留置に2年の上限を持たせる理由がないと思うのですが,
いかがでしょうか。
なんなら,外国人漁業の規制に関する法律だけ,刑法18条の2年縛りを撤廃しても良い。

罰金不払い時における労役場留置の期間を,あくまでも2年に限定するのは,
逆に,高額の犯罪をした方がメリットである?かにも思われてしまうのではないか。

最も心配する問題は,この刑法の規定(足かせ)があるために,
罰金の上限を上げることが難しくなるのではないかという点です。
例えば上限1億円の罰金を科す場合,労役場留置の処分は,1日20万円換算にする必要がある。さすがにこの場合は,判決をする側も傍聴した側も「なんか変だな」と思うはず。

そしてそれだから,罰金の上限を上げられないとしたら,それこそ本末転倒。

    【参考条文】
    外国人漁業の規制に関する法律

    第8条の2  第3条の規定に違反した者は、3年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
    (漁業等の禁止)
    第3条  次に掲げるものは、本邦の水域において漁業、水産動植物の採捕(漁業に該当するものを除き、漁業等付随行為を含む。以下同じ。)、採捕準備行為又は探査を行つてはならない。ただし、その水産動植物の採捕が農林水産省令で定める軽易なものであるときは、この限りでない。
    一  日本の国籍を有しない者。ただし、適法に本邦に在留する者で農林水産大臣の指定するものを除く。
    二  外国、外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの又は外国法に基づいて設立された法人その他の団体

第9条  次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは400万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  第4条第1項の規定に違反して同項の許可を受けないで外国漁船を寄港させた船長
二  第4条の2の規定に違反した船長
三  第5条の規定による命令に違反した船長
四  第6条第1項から第3項まで又は第5項の規定に違反した船長

【船舶の没収の規定はほとんど使われない?】
なお,外国人漁業の規制に関する法律には,船舶の没収の規定もあるようです。
これがあれば,経済犯罪に割の合わないものとすることもできそうです。

ただ,しかし元々一般法である刑法でも,元々違法漁業に用いた船舶は,犯罪組成物件として,没収が可能なのです。

ところが,実は,警察検察は,こうした船舶や車両の類はなかなか没収請求しません。
本件の判決にもそれはないようです。

保管等に手間暇・経費が掛かるからでしょうか。

危険運転致死罪のような問題のある交通事故事件でも,凶器となった車を没収することは,実際はないようです。

しかし,そうだとすれば,尚更,労役場留置の上限をせめて5年までに法改正した方がよいのではないか。

    第9条の2  前2条の場合においては、犯人が所有し、又は所持する漁獲物等、船舶又は漁具その他漁業、水産動植物の採捕、採捕準備行為若しくは探査の用に供される物は、没収することができる。ただし、犯人が所有していたこれらの物件の全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴することができる。

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